司法試験の「敗因分析」とは,何をするのが正解なのか?

弁護士 井垣 孝之   2016年9月7日 (水)

昨日,平成28年司法試験の合格発表があり,受験者6899名,合格者1583名となりました。

フレームワーク本の読者や憲法の流儀・行政法の流儀をご受講いただいた方から,続々と合格のご報告を頂いており,講師としましても大変うれしく思っています。

他方で,5316名については残念な結果に終わってしまいました。

私自身,一度司法試験に落ちて2回目で合格していますので,今の時期の辛さはよくわかります。
そこで,来年に向けて,今,何をすべきかについてまとめておきます。
 

来年リベンジするために今すべきこと(総論)


不合格者の方にまず認識していただきたいのは,不合格になる人には必ず不合格になる理由があるということです。
不合格の理由を分析せず,これまでの勉強方法をそのまま続ければ,来年また同じ結果が出ることでしょう。

したがって,今すべきことは,①敗因分析をすることです。
具体的な方法は後述します。

敗因分析ができたら,②来年の試験までの勉強計画を立てましょう。

あとは,③淡々と来年まで勉強を続けるだけです。


なお,敗因分析と勉強計画の立案をせずにいきなり勉強を始めるのは,また同じ轍を踏むだけですので絶対にやめましょう。

敗因分析→勉強計画を経てから勉強を始めることがポイントです。
 

司法試験の敗因分析とは何か?


よく「敗因分析をしろ」とは言われますが,具体的にどうすればいいのかはなかなか教えてもらません。
そこで,まずは敗因分析とは何かについて説明します。

司法試験における敗因分析とは,「来年リベンジできる勉強の方向性を決定するため,司法試験委員が,自分の回答を不合格にすべきと評価した理由の仮説を立てる」ことをいいます。

そして,来年リベンジできるか否かは,その仮説の精度にかかっています。

ダメな仮説の例をいくつか示します。

(1)途中答案だったから

(2)勉強不足だったから

(3)あの論点が書けなかったから


このような分析からは,以下のような解決策しか出せませんので,まったく役に立ちません。


(1)→途中答案にならないよう早く書く練習をする

(2)→もっとたくさん勉強する

(3)→もっとたくさん勉強する


不合格者のみなさんに自覚していただきたいのは,「今までの勉強方法は間違っているので,合格するには何かを変えなければならない」ということです。

何が間違っており,何を変えなければならないのかがわからない分析は,まったく役に立たないどころか,今後の皆さんの努力を無に帰してしまうという点で非情に有害です。

それでは,どうすればよいのでしょうか。
 

敗因分析の具体的なやり方


まずすべきことは,再現答案を複数の人(合格者・修習生・弁護士・教授)に見てもらい,徹底的に問題点を指摘してもらうことです。
9月中に依頼することが大切です。
恥ずかしくても,自分では原因がわからないからこそ不合格になっているので,これは絶対にやってください。

複数の人に見てもらうこともポイントです。
なぜなら,複数の人に同じような指摘がされれば,そこが不合格の原因である可能性が高いからです。

私が不合格になったときは,弁護士4名と教授1名に問題点の指摘をお願いし,面談やSkype等で問題点を指摘してもらいました。
みなさんも,たとえばローの教員にお願いすればやってもらえると思います。
もし再現答案を作っていなければ今すぐ作成し,9月中に依頼してください。

問題点を指摘してもらったら,指摘を総合して,不合格となった仮説を立ててみてください。
 

敗因分析を踏まえた勉強計画の策定


実は,司法試験の敗因分析をすると,ほとんどの場合,以下のどれか(1つないし複数)に落ち着きます。
ただし,敗因分析をせずに,以下の内容をそのまま鵜呑みにすることは絶対にやめてください。

自分で敗因分析をして,以下のどれかが自分の敗因であるときっちり腑に落とすことが大切です。

(1)基本的な概念に対する理解が不十分だった
(2)問題を見たときの分析方法を確立できておらず,問題となる条文や条文の文言の的確な選択ができていなかった
(3)法的三段論法等の法学の基本的な思考方法ができていなかった


それぞれにつき,どのような勉強計画を策定すればよいかについては,以下のとおりです。
 

(1)→主に利益衡量のフレームワークや原則-例外のフレームワークを用いて基本的な概念がなぜ存在するのかの理解を深めつつ,演習問題をこなして正確性の理解を高める
(2)→演習問題をたくさん解き,答案構成をして問題となる条文の選択と文言を特定するトレーニング
(3)→フレームワーク本を読みましょう


私の場合,(1)と(2)が主な敗因(特に(2))でしたので,出題趣旨の公表されている平成14年以降の旧司法試験と演習書を使い,アウトプット中心で問題分析の精度を上げることを勉強計画の軸に据えました。その中で,基本的な概念の精度を上げる勉強(的確に問題意識を捉えきれなかった問題については,基本書や論文を読む)をしていました。

その結果,本番では大外しすることなく,全科目安定&重点的にやった民事系は跳ね,無事合格することができました。
 

最後に


司法試験は,法律がデキる人を合格させる試験ではなく,法曹実務家にすべきではない人を落とす試験です。

そして,法曹実務家にすべきではないと試験委員が評価する人は,法律学の基本ができていない人です。
難しい・細かい論点を知っている人が合格するわけではありません。

不合格になる原因は,結局のところ,「法律学の基本ができていない」に尽きます。
まずは,敗因分析を通して,「基本の大切さ」を心の底で理解してください。

 

「基本の大切さ」を理解できるようになるまでのプロセスは,とても恥ずかしく,つらいものです(つらいものでした)。

そして,「基本の大切さ」がわかった後に始まる地道な作業の多さに絶望すると思います(あまりの量に嫌になりました)。


また,司法試験は,「孤独な団体戦」です。
恥ずかしくても,1人で戦おうとしないでください。

落ちたことはすぐに周りの人に報告し,サポートをお願いすることがとても大切です。

誰にもサポートをお願いしないと,合格発表後,10月に入って合格者は修習の準備で忙しくなり,周りの人も不合格者には声をかけなくなり,あなたは1人になります。

すると,1人で頑張るしか道がなくなり,精神的にとてもつらいことになりますし,自分が間違った方向に向かっていても,誰も指摘してくれません。
 

フレームワーク本には,当サイトでご購入いただいた方に限り,本書に関する私への質問権がついています。
これまで,延べ50名以上の方の質問に回答してきました。
本書の内容(基本的な思考方法)や,敗因分析・今後の勉強の方向性について,わからないことがあれば,マイページからお気軽にご質問ください。

一緒に来年リベンジするための準備を始め,あなたの正しい勉強のお手伝いができることを楽しみにお待ちしています。

 

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